Love Cocktail
「さなちゃん!」

隣のお姉さんが片手を上げて早苗さんに走り寄った。

あれ。知り合い?

「ごめんなさい。吉岡さん……途中で一人増えちゃってます」

早苗さんの言葉に先程のお姉さんが振り返って、とても素敵にほんわりと笑う。

「貴女が吉岡さんですねぇ? はじめまして、佳奈っていいますぅ」

微笑みながら私の手をつかみ、ブンブンといった感じに振り回された。

「ラブリー大作戦を決行中って聞いたので、参謀として参加希望ですぅ!」

「え……ええ?」

ラブリー大作戦?

「可愛いものなら、さなちゃんなんかに任せちゃ駄目ですよぉ! さなちゃんはラブリーなもの苦手なんですからぁ!」

そう言って、腕を掴んだままでずんずん歩きだすから、苦笑している早苗さんを振り返る。

え、ええ~? この方、どういう方ですかぁ?

「ごめんなさい。佳奈は高校からの私お友達で、言ったら聞かない所があって……」

早苗さんの言い訳に、佳奈さんが口を尖らせた。

「久しぶりに会ったんだから、そんな事は言わないでよぅ!」

「始終こんな感じで。結婚して落ち着いたかと思ったんだけど……」

「私がそうそう変わるはずないじゃないぃ!」

「パワフルな人ですね!」

私の言葉に、早苗さんと佳奈さんは同時に頷いた。





***



そしてその言葉通りに佳奈さんはとにかくパワフル!

フルにそんな感じ。

色んなお店を見てまわり、紙袋はもうたくさん! ってなったところで、遅い昼食になった。

時刻はすでに16時になろうかという時間。

「……どちらかと言うと、お茶の時刻と言うか、夕飯と言うか」

早苗さんが冷静に呟き、私は6つにもなった紙袋を眺める。

佳奈さんは買い物好きらしく、かなり格安な可愛いお店を知っていた。

あれもこれもと買ってるうちに、かなりの量に……。

「若い子は可愛いくていいよねー!」

佳奈さんは断言して、ニコニコと私を見るけど、あなたも相当可愛いと思うんですけど。

「でも、かなり助かりました! 私も可愛いものってどうやって選べばいいか、けっこう悩みますし!」

さすがに、背中に小さい天使の羽根がついた白いワンピースを選ばれた時、ちょっと倒れそうになったけど。

アレを着たら、どこの不思議少女なんだろうって思われると思う。
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