Love Cocktail
「あれぇ? そうなの? 今日着てる服もかわいいよぅ?」

不思議そうな顔をされて頷きを返した。

「これはオーナーに選んで頂いたものですから」

佳奈さんは首を傾げ、早苗さんが微笑みながら彼女を見る。

「佳奈も会ったことがあるでしょ。一条さんのところの女の子なのよ、吉岡さん」

「ああ……!」

佳奈さんは納得して手を打った。

「あの偽紳士だねぇ!」

思わず目を点にする。

フェミニスト。気障男。すけこまし。
いろいろと、オーナーを表して来た私だけど。

さすがに"偽紳士"は出てこなかった。
だってオーナー、全然紳士的じゃないし。

紳士と付くとしたら、エロ紳士が合っている?

「ああ。でも納得かもぉ。あの偽紳士の趣味丸だしの感じだぁ」

「そうですか?」

オーナーは早苗さんに恋をする前は、いつもスレンダーで、身体を強調するような服装の女性と店に来ていた。

可愛い服装の女性って言うのは、見たことがない。

「うん。だって吉岡さんて、顔は可愛い系だけど身体はエッチ系だもん」

早苗さんが飲んでいたお茶を吹き出し、慌てて拭きつつ佳奈さんをキッと睨む。

「何をいきなり……」

「だってさりげなく胸を強調するような服だし、足も綺麗だから太もも丸出しだし、なによりお尻がプリンとして可愛いし」

お尻……お尻までは気にしていなかったけど。

買ってもらったアレやコレやを考えつつ、結論に達した。

さすがスケコマシ。着眼点がエロ可愛いだったのか!

そう言えばロングニットにミニスカはそそる、とか言ってたような……。

だけど!

「佳奈さん! こんなに明るいうちから、言うようなことじゃありませんからぁ!」

テーブルを叩くと佳奈さんはふんわりと笑った。

「吉岡さんて外見は私だけど、中身はさなちゃんそっくりだねぇ」

ええ? どこがですか? 私と、この落ち着いて大人の女性丸だしの早苗さんと?

「それはないですよぉ!」

慌てて手を振りながら否定すると、佳奈さんも人差し指を振りながら否定してくる。

「さなちゃんて解りにくいけど、こう見えて奥手なんだよぅ? やっと人間相手に表情出てくるようになったし」

人間相手に表情って……それはどういう事でしょう?

「よくしゃべるようになったし。それこそ、この手の話になると……」

佳奈さんの視線の先の早苗さんを見て目を丸くした。

彼女ら真っ赤になって瞬きを繰り返している。
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