Love Cocktail
そんな感じにこき使われて、恋心を持続させる女はあまりいないと思う。

ううん。でも実際は持続してる。

だけどね……だけど、どうもオーナーは私を女性というよりも妹分。
それならまだいい。何故か、飲み比べで挑戦すべき人間扱い。

そんなんじゃいけないと思う。

私はまだ二十二歳だし。かと言え二十二歳だし。

新しい恋なんて、すぐに見つかるさ!
……と、友達に頼んで、合コンに参加する事にしたんだけど。





同年代って、こんなに子供っぽかった?
わいわいと学生さん達に混じって、お酒を飲んでいる社会人の私が単におかしい?

普段、お兄様お姉様たちに囲まれてるから感覚がおかしいのかもしれない。

掛け声に合わせて一気飲みしてる姿を見ると、飲み方がなってない! と、叫びたくなるのは、私の習性かも……。

昼間に忙しい彼らと夜間に忙しい私では、話は合わないし共通項もほぼない。

あー……来るんじゃなかったかも。

時刻は二十三時。そろそろ場所移動くらいする時間かな……。

案の定。カラオケ行こう!の掛け声で皆は立ち上がり、その隙に幹事の友達に謝って、お金を払って店を出る。

店を出ると慣れ親しんだ夜の風景が見えた。

道端には何故か制服姿の学生さん。

その傍らを、フラフラ千鳥足のサラリーマンが肩を組んで歩いている。

電飾の向こうにはキャッチのお兄ちゃんがチラシくばり。
お店に向かう化粧も格好も派手なお姉様たち……。

煙草の煙に混じって、居酒屋からはお魚を焼く匂いがした。

うん。これなら日常だ。

駅に向かって歩き出そうとして、いきなり腕を掴まれる。

「吉岡さぁん。帰っちゃうんだって?」

振り返る先には、合コンで一気飲みしていた男の子。笑顔を浮かべて腕を外す。

「はい!」

「じゃ~送るよ~」

「いえ! 駅は近いですし……」

「駄目だって! 女の子一人なんて危ないし、お酒も飲んでるんだからさ~」

私より、君の方が酔ってる感じだけど!?

また掴まれた腕をぐいぐいと引かれ、どんどん駅が離れていくのが解る。
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