Love Cocktail
手に取って眺めると、けっこう高そうなちゃんとした封筒。

もちろん宛名は私。

裏を返して、目を丸くする。

桐生隆幸さんのフルネームと秋元早苗さんのフルネーム。きちんとワープロでの文字が並んでいた。

何故、私に手紙が? それよりも、どこから住所をお調べに?

あ、オーナーからかな? 勝手にお知らせされても困るんだけどなーと、苦笑して封筒を開ける。

中には折り畳まれたカードと、一枚の便箋が入っていた。

まずはカードを開いて……思わず声をあげる。

これ、結婚式の招待状だ。日時は来年2月の上旬。場所は……。

「札幌?」

どうして札幌。

解らないながらもソファに座り、便箋の方を開いた。

招待状の綺麗なワープロ文字とは違って、こっちは直筆の綺麗な文字が並んでいる。


【吉岡様へ

唐突な招待状で、申し訳ありません。
この度、隆幸さんと結婚することになりまして、母の縁の地でもある札幌で挙式を挙げる事になりました。

妙な時期に、と思われるでしょう。

雪の中での結婚式は、私の希望を聞いてくれての結果です。

1月は私たちも仕事が難しいですし、3月だと雪も溶けているだろうし。
次の機会になると来年になってしまうし……と言う、選択の結果です。

それで、吉岡さんにも来てもらえれば……と、思って招待状を送ります。

場所が場所ですし無理にとはいいません。でも、この時期だと雪祭りのパックツアーなどで安上がりかも?

もし良ければ、お越し下さい。

P.S
隆幸さんに比べて私は友達に恵まれてる方じゃないので、来てくれたらとても嬉しいです。

変なことをお願いしちゃうみたいですみません。】


最後に早苗さんのフルネームと連絡先番号が記されていた。

隆幸さんと結婚することになりまして……って、早苗さんの照れくさそうな表情が見えるようですねー。

「うー……ん」

確かに、早苗さんとは何度か会ってるし、仲良くさせてもらっている。

けど、結婚式に行くほどの仲かと言われれば、少し悩む感じかも。
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