Love Cocktail
Gimlet
*****
12月に入り、クリスマス用にカクテルを試作中。
「いや、悪くない。悪くないと思うんだが……」
中根さんの表情に、少しだけ嫌な汗が流れる。
試作品その1フローズンタイプの抹茶カクテル。白玉、つぶ餡のせに渋面を作られた。
「俺は好きだが。丸っきりデザートかな?」
オーナーはそう言ってカウンターに座り、デザートスプーンで試作品を食べながら首を傾げている。
「ホテルのラウンジより、カマクラ向きのカクテルだと思う」
「やっぱりそう思われますかぁ?」
「吉岡はカマクラでの試作品が多いからなぁ。もうちょっと落ち着いたものの方がいいかもしれない」
落ち着いたものですかぁ。
シェーカーを洗いながら眉を寄せる。
「オーナーの好みでは、どんな感じですか?」
「俺? 色艶があって、甘くて刺激的で、それでいて落ち着ける感じ?」
「それは女性の好みですか」
「そう」
「そんなものは今、聞いてませんからねぇ」
中根さんが隠れて吹きだした。
それを見つつ、オーナーから試作品を取り上げ一口食べる。
うーん。確実にこれは甘いんだよねぇ……。
「クリスマスですから甘いって言っても、甘すぎはタブーですね~」
首を傾げると、カウンターから身を乗り出したオーナーに試作品を奪い返された。
……貴方の舌の好みには合ってましたか。
「クリスマスの客は3種類だと、俺は思うが」
乗っかっていた餡を食べ、オーナーはスプーンを器用に回す。
「甘いケーキを食べて来た客か、居酒屋で飲んで来た客か、レストランでディナーだった客か」
オーナーはちらっと私を眺め、少しご機嫌そうに溶けてきたカクテルを飲んだ。
「吉岡は、ホテルに来るのはどんな客だと思う?」
「え? あわよくばを狙ってる人ですか?」
「おい……聞いているのはそこじゃないからな?」
オーナーは目を細め、中根さんは今度は背を向けて肩を震わせている。
「ケーキの人はホームパーティー派だろうし、居酒屋組みがホテルのラウンジバーは敷居が高い。とすれば、ディナー組みだろうが」
「あ、成る程ですね!」
ポムと手を打って、首を傾げる。
12月に入り、クリスマス用にカクテルを試作中。
「いや、悪くない。悪くないと思うんだが……」
中根さんの表情に、少しだけ嫌な汗が流れる。
試作品その1フローズンタイプの抹茶カクテル。白玉、つぶ餡のせに渋面を作られた。
「俺は好きだが。丸っきりデザートかな?」
オーナーはそう言ってカウンターに座り、デザートスプーンで試作品を食べながら首を傾げている。
「ホテルのラウンジより、カマクラ向きのカクテルだと思う」
「やっぱりそう思われますかぁ?」
「吉岡はカマクラでの試作品が多いからなぁ。もうちょっと落ち着いたものの方がいいかもしれない」
落ち着いたものですかぁ。
シェーカーを洗いながら眉を寄せる。
「オーナーの好みでは、どんな感じですか?」
「俺? 色艶があって、甘くて刺激的で、それでいて落ち着ける感じ?」
「それは女性の好みですか」
「そう」
「そんなものは今、聞いてませんからねぇ」
中根さんが隠れて吹きだした。
それを見つつ、オーナーから試作品を取り上げ一口食べる。
うーん。確実にこれは甘いんだよねぇ……。
「クリスマスですから甘いって言っても、甘すぎはタブーですね~」
首を傾げると、カウンターから身を乗り出したオーナーに試作品を奪い返された。
……貴方の舌の好みには合ってましたか。
「クリスマスの客は3種類だと、俺は思うが」
乗っかっていた餡を食べ、オーナーはスプーンを器用に回す。
「甘いケーキを食べて来た客か、居酒屋で飲んで来た客か、レストランでディナーだった客か」
オーナーはちらっと私を眺め、少しご機嫌そうに溶けてきたカクテルを飲んだ。
「吉岡は、ホテルに来るのはどんな客だと思う?」
「え? あわよくばを狙ってる人ですか?」
「おい……聞いているのはそこじゃないからな?」
オーナーは目を細め、中根さんは今度は背を向けて肩を震わせている。
「ケーキの人はホームパーティー派だろうし、居酒屋組みがホテルのラウンジバーは敷居が高い。とすれば、ディナー組みだろうが」
「あ、成る程ですね!」
ポムと手を打って、首を傾げる。