Love Cocktail
「ちょっと失敗しただけじゃないですかぁ」
「ちょっとどころか、あれは人間殺人兵器だ。二度とやるな!」
それは酷すぎる……その会話に、中根さんは首を傾げた。
「一条オーナー……吉岡さんの手料理を召し上がった事があるんですか?」
「昔々、お腹が空いたって言うから、カマクラの厨房で作った事があるんですよぉ」
微笑むと、中根さんは納得して、そんな彼をオーナーはキリッと振り向く。
「この子がカクテル以外の何かを作ろうとしても、絶対に作らせてはいけないぞ?」
腕を組み断固として首を振り、それから何か思い出したみたいに不思議そうに私を見つめた。
「だが……それで何故、鍋奉行ができるんだかが不思議だな」
「お鍋は、味付けが出来てるじゃないですか!」
「ああ、味付けが駄目なのか?」
「お鍋は市販のたれで煮込むか、ただ材料煮ればいいだけですもん。ちゃんと煮る時間も書いているし」
大いに納得した顔をされる。
納得されてもむかついちゃうんですけど。
「つまり、カクテル以外は大雑派なんだな?」
「あらぁ、私、急にオーナーとよく話し合いたくなって来ましたぁ!」
にこやかにオーナーににじり寄る私に、中根さんはしみじみと頷く。
「とにかく、一条さんと吉岡さんは、とても仲が良いのは解りました」
そう言われた瞬間に、私とオーナーで同時に中根さんを見た。
「そんな事はない」
「そんな事は絶対ないです!」
同時に言って、同時にお互いを見る。
「こっちの台詞だ」
「私の台詞ですぅ」
私はにこやかに、オーナーは険しい顔で、それぞれ睨んでいると、厨房からマネージャーが顔を出した。
「……すみません。お客様がいらっしゃるので、お声を小さく」
困ったように言われて、同時に顔を赤らめた。
いけない、いけない。ここはバーテンダーの聖域なのに……つい言い争いになってしまった。
反省しつつ、使ったシェーカーを洗う。
「じゃ、吉岡さん。ちょっと休憩に行ってくる」
中根さんに頷いて、洗い終わったものを手際よく拭いていく。
それを眺めていたオーナーが、小さな声で呟いた。
「明日、休みなのか?」
「そうですよぉ」
磨いたグラスに、曇りがないか確認。
それを棚に戻してから振り返る。
「どうかしましたか?」
「ああ。本格的に、ちゃんと協力しようと思ってな」
「ちょっとどころか、あれは人間殺人兵器だ。二度とやるな!」
それは酷すぎる……その会話に、中根さんは首を傾げた。
「一条オーナー……吉岡さんの手料理を召し上がった事があるんですか?」
「昔々、お腹が空いたって言うから、カマクラの厨房で作った事があるんですよぉ」
微笑むと、中根さんは納得して、そんな彼をオーナーはキリッと振り向く。
「この子がカクテル以外の何かを作ろうとしても、絶対に作らせてはいけないぞ?」
腕を組み断固として首を振り、それから何か思い出したみたいに不思議そうに私を見つめた。
「だが……それで何故、鍋奉行ができるんだかが不思議だな」
「お鍋は、味付けが出来てるじゃないですか!」
「ああ、味付けが駄目なのか?」
「お鍋は市販のたれで煮込むか、ただ材料煮ればいいだけですもん。ちゃんと煮る時間も書いているし」
大いに納得した顔をされる。
納得されてもむかついちゃうんですけど。
「つまり、カクテル以外は大雑派なんだな?」
「あらぁ、私、急にオーナーとよく話し合いたくなって来ましたぁ!」
にこやかにオーナーににじり寄る私に、中根さんはしみじみと頷く。
「とにかく、一条さんと吉岡さんは、とても仲が良いのは解りました」
そう言われた瞬間に、私とオーナーで同時に中根さんを見た。
「そんな事はない」
「そんな事は絶対ないです!」
同時に言って、同時にお互いを見る。
「こっちの台詞だ」
「私の台詞ですぅ」
私はにこやかに、オーナーは険しい顔で、それぞれ睨んでいると、厨房からマネージャーが顔を出した。
「……すみません。お客様がいらっしゃるので、お声を小さく」
困ったように言われて、同時に顔を赤らめた。
いけない、いけない。ここはバーテンダーの聖域なのに……つい言い争いになってしまった。
反省しつつ、使ったシェーカーを洗う。
「じゃ、吉岡さん。ちょっと休憩に行ってくる」
中根さんに頷いて、洗い終わったものを手際よく拭いていく。
それを眺めていたオーナーが、小さな声で呟いた。
「明日、休みなのか?」
「そうですよぉ」
磨いたグラスに、曇りがないか確認。
それを棚に戻してから振り返る。
「どうかしましたか?」
「ああ。本格的に、ちゃんと協力しようと思ってな」