Love Cocktail
ただもう、問いかけられた内容が内容なのでびっくり!

どうしても何もないんだけど……。
そもそも何故、私が赤城さんを好きなの? と、御当人に聞かれなくてはならないの?と、いろいろが何だかおかしな話で……。

そちらの方が、どうしてですか?

え。いや、どういうこと?

「いや……。どうしてって言われても困るなぁ」

頭をかきつつ、どうも心底困っている本人に、私も私で混乱した頭を叩く。

何がどうして、こうなってるんだろう?

「僕としてはさ。吉岡さんは可愛いし、今彼女もいないし、つき合ってもいいかなぁ……って思うけど」

そんな事を思われても困る! って、心の中で叫んでも駄目ですね。

「ごめんなさい! よく解らないですけど、私は好きな人が別にいます!」

頭を下げて上げた時、今度は心底楽しそうな赤城さんを見つけた。

「……あの?」

「気にしないで。そうだと思っていたから」

「おっしゃる意味が解りません」

赤城さんは軽く頷き、美味しそうにキャラメルマキアートを飲む。

「僕もイキナリ言われて驚いたよ」

「はい?」

イキナリ、何を言われたとおっしゃるんですか?

「いつも大学終わったらカマクラにいて、仕事始まるまで休憩室にいるんだけど」

開店は17時からだけど、14時くらいから従業員入口は開いている。
それくらいになるとオーナーかマネージャーのどちらかがいるから……。

だから、学生さんたちが暇つぶしの休憩所として使っていたのは私でも知っていた。

だから、エスプレッソを飲みながら頷く。

「急に呼び出されてさ。吉岡さんが僕の事を好きだから行ってやれって言われて」

「は……はい?」

「1号店の中じゃ吉岡さん僕としか会話してない……とか、言われてさ?」

確かに、1号店の中では目を逸らされたりなんだりで、会話らしい会話は赤城さんとしかしていないけど。

「それに僕と一緒の時に顔を赤くしてたとか……なんかそんな事を言っていた。それってたぶん、前にドアをぶつけちゃった時の事だと思うんだけど」

そう言われて、ハッと顔を上げる。

私が赤城さんが開けたドアに激突した事は覚えている。

そして誰がいたのかも……。

まさか?

「あの、赤城さん。誰に……誰に言われて来たんですか?」

赤城さんはキャラメルマキアートを飲み、必死になって聞くと、ちょっと不思議そうな顔をする。

「誰って……一条オーナーだよ?」

言われた瞬間、予感が的中して目をつぶった。
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