Love Cocktail
第一章
Nikolascka
*****
「だから、君はまるっきりの童顔なんだから、それを活かした化粧をすべきだ」
何故かお説教モードのオーナーを無視して、美味しくおろし蕎麦を食べる。
お金持ちの考えは解らないけど、食べ物の趣味はいいと思う。
……にしても、まわりが料亭みたいな個室お座敷なのが少し気にならないでもないけど。
「君は聞いているか?」
「聞いてますよぅ! 口紅はピーチ系を、クールなものよりフェミニンなもの、服装もパンツよりはスカート。しかも原色ではなくて淡い色合いのもの!」
「髪はそのままで。綺麗な巻き髪だし、色も栗色で艶もあるしな。いい美容院には行っている訳だね」
また一人で頷くオーナーに顔をしかめる。
「これはくせ毛なんで、何もしてないですから!」
天麩羅蕎麦から顔を上げ、オーナーは箸を置くと、おもむろに髪を引っ張ってきた。
「そうなのか?」
不思議そうな表情に、なんと反応を返していいものか迷う。
「そうなんです!」
「それにしては、綺麗な栗色の巻き毛だね」
感心したように、引っ張っていた髪を指にくるくると巻き付けられてドキマギした。
本当にこの人は、女性慣れしてると言うか……。
スルスルと指から髪を奪い返して、気を取り直したように咳払いした。
「オーナー。私のイメージってどんななんですかぁ?」
オーナーは一瞬難しい顔をして、少し考えてから頷く。
「見た目は天使だね」
ああ、そう。やっぱり言われると思いましたよ。
だいたいの男性はパッと見て、私を決め付けたがる。
栗色でクルクルのロングヘアー。
夜中心の仕事、それ故にあまり日に焼けない白い肌。
声質も、落ち着いているとは言えない高い音域。
目は大きすぎるし、唇はふっくらしすぎている。
そして、とどめにややぽっちゃりな体型!
今まで経験した私がフラれる理由ナンバーワン。
それは見た目と性格のギャップ。
装っているつもりはないのに、勝手にイメージが定着して勝手に幻滅される。
だから……オーナーには言われたくなかったかな。
しょうがないじゃない!
なにも好きで、こんな乙女チックな声をしてる訳じゃないんだから!
怒ったって、この声だと解りにくいみたいだし。
“何をすねてるんだよ~”なんて、軽くいなされる。
このもどかしさと、面倒くささ!
「だから、君はまるっきりの童顔なんだから、それを活かした化粧をすべきだ」
何故かお説教モードのオーナーを無視して、美味しくおろし蕎麦を食べる。
お金持ちの考えは解らないけど、食べ物の趣味はいいと思う。
……にしても、まわりが料亭みたいな個室お座敷なのが少し気にならないでもないけど。
「君は聞いているか?」
「聞いてますよぅ! 口紅はピーチ系を、クールなものよりフェミニンなもの、服装もパンツよりはスカート。しかも原色ではなくて淡い色合いのもの!」
「髪はそのままで。綺麗な巻き髪だし、色も栗色で艶もあるしな。いい美容院には行っている訳だね」
また一人で頷くオーナーに顔をしかめる。
「これはくせ毛なんで、何もしてないですから!」
天麩羅蕎麦から顔を上げ、オーナーは箸を置くと、おもむろに髪を引っ張ってきた。
「そうなのか?」
不思議そうな表情に、なんと反応を返していいものか迷う。
「そうなんです!」
「それにしては、綺麗な栗色の巻き毛だね」
感心したように、引っ張っていた髪を指にくるくると巻き付けられてドキマギした。
本当にこの人は、女性慣れしてると言うか……。
スルスルと指から髪を奪い返して、気を取り直したように咳払いした。
「オーナー。私のイメージってどんななんですかぁ?」
オーナーは一瞬難しい顔をして、少し考えてから頷く。
「見た目は天使だね」
ああ、そう。やっぱり言われると思いましたよ。
だいたいの男性はパッと見て、私を決め付けたがる。
栗色でクルクルのロングヘアー。
夜中心の仕事、それ故にあまり日に焼けない白い肌。
声質も、落ち着いているとは言えない高い音域。
目は大きすぎるし、唇はふっくらしすぎている。
そして、とどめにややぽっちゃりな体型!
今まで経験した私がフラれる理由ナンバーワン。
それは見た目と性格のギャップ。
装っているつもりはないのに、勝手にイメージが定着して勝手に幻滅される。
だから……オーナーには言われたくなかったかな。
しょうがないじゃない!
なにも好きで、こんな乙女チックな声をしてる訳じゃないんだから!
怒ったって、この声だと解りにくいみたいだし。
“何をすねてるんだよ~”なんて、軽くいなされる。
このもどかしさと、面倒くささ!