Love Cocktail
「はい! あれですよね。彼女AとBに二股ばれて、お店でビンタされてた夜」
「……その思いだし方は、やめてほしかったな」
中根さんは絶望的な顔をしてから両手で顔を覆う。
「確かに、海に誘われましたねぇ」
「それで……“好きじゃない人誘っても、寂しいままです”って言ったんだ。君は」
「だって、そうじゃないですか。私は中根さんの元奥さんじゃありませんもん」
そう言うと、深々と、再度の溜め息をつかれた。
「……さっきのマネージャーの答」
「はい?」
「俺が吉岡さんのお陰で、真面目になったって言われた、その答だよ」
「……はあ」
そう言われれば、最近の中根さんはナンパをしない。
淡々と軽い冗談は返ってくるけど、今はおつき合いしてる人もいないみたい。
毎日、真剣にバーテンダーをしている。
「更正したんですねえ!」
明るく言ってビールを飲み干すと、手を下して苦い笑いを返された。
「そうだねー。更正したみたいだね」
新しい缶を貰ってプルタブを開ける。開けてから首を傾げた。
「ところで、勝手にビール飲んじゃっていいんですかぁ?」
聞くと中根さんは頷く。
「問題ないよ。俺の私物だし」
「そんなもん、持ち込んでるんですかあ?」
うわー。呆れた。
けど、仕事中じゃないからいいかも知れない。
おいしく飲んでると、中根さんは淡々と呟いた。
「戻ってこないの?」
「この店にですか?」
「うん」
頷かれて、少し困る。
とりあえず、実家の店を手伝った後は……今のところ、何も考えていないかなぁ。
「そうですね。きっとこのグループには帰ってきません」
「じゃあさ、吉岡さん」
「はい」
「俺のところに、嫁にこない?」
あまりにもあっさり言われた言葉いポカンとした。
今何を言われた?
よ……嫁? 嫁ですか!?
「俺は確かに教育費とか払ってるけど、親権はあっちに取られてるから。実際、独身と一緒?」
おちゃらけて言う中根さんに、先日のやり取りを思い出す。
『次回は、もっと大人の男性選びなよ?』だとか。
『バツイチの子持ちはやめておきなよ』なんて、冗談混じりのニヒルな笑顔で言われて……。
「……その思いだし方は、やめてほしかったな」
中根さんは絶望的な顔をしてから両手で顔を覆う。
「確かに、海に誘われましたねぇ」
「それで……“好きじゃない人誘っても、寂しいままです”って言ったんだ。君は」
「だって、そうじゃないですか。私は中根さんの元奥さんじゃありませんもん」
そう言うと、深々と、再度の溜め息をつかれた。
「……さっきのマネージャーの答」
「はい?」
「俺が吉岡さんのお陰で、真面目になったって言われた、その答だよ」
「……はあ」
そう言われれば、最近の中根さんはナンパをしない。
淡々と軽い冗談は返ってくるけど、今はおつき合いしてる人もいないみたい。
毎日、真剣にバーテンダーをしている。
「更正したんですねえ!」
明るく言ってビールを飲み干すと、手を下して苦い笑いを返された。
「そうだねー。更正したみたいだね」
新しい缶を貰ってプルタブを開ける。開けてから首を傾げた。
「ところで、勝手にビール飲んじゃっていいんですかぁ?」
聞くと中根さんは頷く。
「問題ないよ。俺の私物だし」
「そんなもん、持ち込んでるんですかあ?」
うわー。呆れた。
けど、仕事中じゃないからいいかも知れない。
おいしく飲んでると、中根さんは淡々と呟いた。
「戻ってこないの?」
「この店にですか?」
「うん」
頷かれて、少し困る。
とりあえず、実家の店を手伝った後は……今のところ、何も考えていないかなぁ。
「そうですね。きっとこのグループには帰ってきません」
「じゃあさ、吉岡さん」
「はい」
「俺のところに、嫁にこない?」
あまりにもあっさり言われた言葉いポカンとした。
今何を言われた?
よ……嫁? 嫁ですか!?
「俺は確かに教育費とか払ってるけど、親権はあっちに取られてるから。実際、独身と一緒?」
おちゃらけて言う中根さんに、先日のやり取りを思い出す。
『次回は、もっと大人の男性選びなよ?』だとか。
『バツイチの子持ちはやめておきなよ』なんて、冗談混じりのニヒルな笑顔で言われて……。