Love Cocktail
「えー……と」

『今はもう、札幌?』

「あ、いいえ。空港です!」

『空港? 何時頃フライトなのかしら?』

「予定としては17時20分の予定です。千歳の天候悪いみたいですがぁ」

言われて確認してみると、電光表示板にはそのようになっている。

『天候調査待ち?』

「そこまでは、まだなってませんが……でも、何故です?」

『お見送りくらい、したいじゃない』

「そんな~。いいですよ、わざわざ」

見えないだろうけど、思わず手を振った。

『友人見送るの、悪くはないでしょう?』

「いや。まぁ。そう言って頂けるのでしたら……」

電光表示板にある時計を見て、眉をを下げる。

16:46では、間に合いそうもないだろうな。

「ま、どっちにしろ、今からじゃ無理ですよ」

『ああ、もう! なんで、もっと早く教えてくれないの!?』

「あ、はい! すみませんです」

駄々をこねるような口調に、目を丸くした。

『……あ、ごめんなさい。こっちの事なの』

桐生氏にでも、駄々をこねたんでしょうか?

駄々をこねている早苗さんが全く想像出来ないけど。

「大丈夫ですよ~。早苗さんとは結婚式で会えるじゃないですか」

『……ちゃんと、来てくれます?』

「もちろん! ただ私だとは気付かないかも!」

お土産を眺めつつ、にっこりとする。

ガラスのショーケースには自分の影が見えた。その影に私自身が慣れていない。

まぁ、髪も染めたしバッサリといっちゃったし。
なんだかすっきり身まで軽くなった気がするよね。

『え?』

「会うまでのお楽しみと言うことで!」

とにかく、無難そうな有名お菓子をカウンターに乗せて支払いをする。

『苺ちゃん。今、空港のどこらへんにいるの?』

急に言われて、紙袋をもらいながら目をパチパチさせた。

「今は、お土産屋さんらへんにいますが……?」

めちゃくちゃ北海道弁だな。懐かしい。

『これからの予定は?』

「予定的には荷物を預けて、お昼食べてないので軽く何か食べようかな~と考えてますが」

『荷物預けて、ご飯?』

「それが何か?」

意味が不明ですが……。
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