Love Cocktail
『あー……何をするのかなと思って。一人じゃ暇でしょう?』
「アハ。後で本屋にでも寄りますよ。今日は朝早かったからフライト中に寝ちゃいそうですが!」
『頑張ってね』
急に言われて思わず首を傾げた。
「あ、はい。頑張ってみますぅ」
今日の早苗さんは、何か訳が解りませんが……。
「じゃ、長電話もあれなので、そろそろ」
『あ。えーと苺ちゃん、ちょっと待って!』
早苗さんの声に小首を傾げる。
『吉岡さん?』
急に聞こえた低い声に、無言で飛び上がった。
『桐生だけど』
ああ、桐生氏でしたか。
一瞬、オーナーかと思いました。
やっぱり従兄弟だからなのか、声がよく似ている。
「あ、はい」
『大変だと思うけど、気長に待っててやって』
「は……?」
『じゃ。よい旅を』
めちゃめちゃいい声でそう言われて通信は切れた。
……よく解らないカップルですね。
しばらくスマホを眺めていたけど、気を取り直すと荷物をガラゴロと引きずって、カウンターに荷物を預けに行く。
バックだけ手荷物で持ち込むことにして、また表示板の時計を見た。
17時過ぎ……とすると、あまりゆっくりご飯は無理だなぁ。
お腹空いたままでフライトは避けたいな~。そう言えば、最近まともなご飯を食べてないかも。
考えていた時、背後で小さな悲鳴が上がった。
振り返って見ると、黒いコートの男性と白いコートの女性が荷物ごと倒れている。男の人は女の人に謝って、すぐに走りだした。
後ろ姿しか見えなかったけど、凄い勢いだ……ってか酷い。
「大丈夫ですか?」
女の人の荷物を立て直し、顔を覗く。
「あ、すみません。ありがとうございます」
少し照れながら、その人はふわふわした長い髪をかきあげた。
とりあえずスカートの中身、見えなくてよかったですね!
彼女に軽く頭を下げ歩きだす。
時間がないから、そのままゲートに入っちゃえ。
チケットを見せて、バックをトレイに乗せて、金属探知器をくぐる。
その瞬間……どこか遠くで、私を呼ぶ声が聞こえた。
振り返ってみても、見えるのは通り過ぎるだけの通行人。
ざわつきの中で見知った人の姿なんていつかるはずもなく……。
「お客様……?」
警備員ぽい制服の人に、声をかけられ赤面した。
「あ、すみません!」
トレイからバックを持ち上げ、ゲートを離れる。
きっと気のせいだろう。
誰も、間に合うはずがないんだから──……
「アハ。後で本屋にでも寄りますよ。今日は朝早かったからフライト中に寝ちゃいそうですが!」
『頑張ってね』
急に言われて思わず首を傾げた。
「あ、はい。頑張ってみますぅ」
今日の早苗さんは、何か訳が解りませんが……。
「じゃ、長電話もあれなので、そろそろ」
『あ。えーと苺ちゃん、ちょっと待って!』
早苗さんの声に小首を傾げる。
『吉岡さん?』
急に聞こえた低い声に、無言で飛び上がった。
『桐生だけど』
ああ、桐生氏でしたか。
一瞬、オーナーかと思いました。
やっぱり従兄弟だからなのか、声がよく似ている。
「あ、はい」
『大変だと思うけど、気長に待っててやって』
「は……?」
『じゃ。よい旅を』
めちゃめちゃいい声でそう言われて通信は切れた。
……よく解らないカップルですね。
しばらくスマホを眺めていたけど、気を取り直すと荷物をガラゴロと引きずって、カウンターに荷物を預けに行く。
バックだけ手荷物で持ち込むことにして、また表示板の時計を見た。
17時過ぎ……とすると、あまりゆっくりご飯は無理だなぁ。
お腹空いたままでフライトは避けたいな~。そう言えば、最近まともなご飯を食べてないかも。
考えていた時、背後で小さな悲鳴が上がった。
振り返って見ると、黒いコートの男性と白いコートの女性が荷物ごと倒れている。男の人は女の人に謝って、すぐに走りだした。
後ろ姿しか見えなかったけど、凄い勢いだ……ってか酷い。
「大丈夫ですか?」
女の人の荷物を立て直し、顔を覗く。
「あ、すみません。ありがとうございます」
少し照れながら、その人はふわふわした長い髪をかきあげた。
とりあえずスカートの中身、見えなくてよかったですね!
彼女に軽く頭を下げ歩きだす。
時間がないから、そのままゲートに入っちゃえ。
チケットを見せて、バックをトレイに乗せて、金属探知器をくぐる。
その瞬間……どこか遠くで、私を呼ぶ声が聞こえた。
振り返ってみても、見えるのは通り過ぎるだけの通行人。
ざわつきの中で見知った人の姿なんていつかるはずもなく……。
「お客様……?」
警備員ぽい制服の人に、声をかけられ赤面した。
「あ、すみません!」
トレイからバックを持ち上げ、ゲートを離れる。
きっと気のせいだろう。
誰も、間に合うはずがないんだから──……