Love Cocktail
Pure love
*****
1月にお店を再開して、なんとかなって来た頃。
おバカな兄貴の経過もよく、ようやく退院して来た。
「本当に迷惑したんだからねえ!」
1月の売り上げと発注した物など、全部書きだしたノートを差し出して腕を組む。
「悪かったって」
ちなみに、2階では一応は退院してるけど、親父様がまだ腰が痛くてうんうん唸っている。
「それにしても売り上げ伸びてるじゃん。俺、立場なし?」
持っていたボールペンをスパンと投げ付けた。
「半分くらいはお兄ちゃん目当てのお姉様たちで、半分はそのお姉様たちが連れて来てくれたお客様」
「ススキノだからな! モテる兄がいて幸せだろ」
「馬鹿言ってないでお姉様たちに感謝してよねえ!」
そう言って、立ち上がった。
「それで、お前はデートか? おめかしして」
「これから知人の結婚式」
兄貴は手を打って頷く。
「今日だったか」
「うん。で、またちょっと旅に出るから、落ち着くまで荷物よろしくぅ」
兄貴は倉庫のような状態の、2階の部屋を思い浮かべてるらしい。
「また東京?」
「大阪かなぁ。関西の方のバーも見てみたいし」
「帰ってきて手伝えばいいじゃんか」
「兄ちゃんに使われるなんて、背筋凍るもんね」
アッカンベーをして苦笑すると、兄貴も苦笑してこたつに潜り込んだ。
「その式の後、すぐに行くのか?」
「ううん。解らないけどホテルに泊まって、それからぶらぶら」
「金持ちだな……」
「兄ちゃんは使い過ぎ」
言い添えて、キャリーケース片手に家を出た。
***
春は桜が咲くけれど、まだ雪の残る高架下を抜けて、流石の寒さに大通りを越えてからタクシーを拾う。
早苗さん達の結婚式は、中島公園に近いホテルで行われる。
て、たぶん、もう披露宴も始まっている頃。
桐生氏の親戚として、オーナーも来るって事をすっかり抜け落ちていて、最初から挙式にでずに遅刻していくつもりで家を出た。
1月にお店を再開して、なんとかなって来た頃。
おバカな兄貴の経過もよく、ようやく退院して来た。
「本当に迷惑したんだからねえ!」
1月の売り上げと発注した物など、全部書きだしたノートを差し出して腕を組む。
「悪かったって」
ちなみに、2階では一応は退院してるけど、親父様がまだ腰が痛くてうんうん唸っている。
「それにしても売り上げ伸びてるじゃん。俺、立場なし?」
持っていたボールペンをスパンと投げ付けた。
「半分くらいはお兄ちゃん目当てのお姉様たちで、半分はそのお姉様たちが連れて来てくれたお客様」
「ススキノだからな! モテる兄がいて幸せだろ」
「馬鹿言ってないでお姉様たちに感謝してよねえ!」
そう言って、立ち上がった。
「それで、お前はデートか? おめかしして」
「これから知人の結婚式」
兄貴は手を打って頷く。
「今日だったか」
「うん。で、またちょっと旅に出るから、落ち着くまで荷物よろしくぅ」
兄貴は倉庫のような状態の、2階の部屋を思い浮かべてるらしい。
「また東京?」
「大阪かなぁ。関西の方のバーも見てみたいし」
「帰ってきて手伝えばいいじゃんか」
「兄ちゃんに使われるなんて、背筋凍るもんね」
アッカンベーをして苦笑すると、兄貴も苦笑してこたつに潜り込んだ。
「その式の後、すぐに行くのか?」
「ううん。解らないけどホテルに泊まって、それからぶらぶら」
「金持ちだな……」
「兄ちゃんは使い過ぎ」
言い添えて、キャリーケース片手に家を出た。
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春は桜が咲くけれど、まだ雪の残る高架下を抜けて、流石の寒さに大通りを越えてからタクシーを拾う。
早苗さん達の結婚式は、中島公園に近いホテルで行われる。
て、たぶん、もう披露宴も始まっている頃。
桐生氏の親戚として、オーナーも来るって事をすっかり抜け落ちていて、最初から挙式にでずに遅刻していくつもりで家を出た。