混ざらぬ色
『私はお前の何だ』
少し思ったより小さい声であいつは発した
掠れたような濁りはない声で
微かに家と家との間から聞こえる風が響く
こんな静かかったっけ、と思い知らされる時間だった
『只のサドだ』
俺は少し早口になったかもしれねぇが
無意識な内の出来事
そう俺は呟きこの場を後にした
私はお前の何だ だと?
俺が聞きてェ。自分に聞いても分かりやしねェんだ
スグに答えになれるもんなら、なってほしい
そんな幻みたいなことなんざあるわけねぇのにな
アイツの伝染でもしちまッたのかねェ
最悪だ、ぜってィそうだ