私の声、届きますか?
「琴音さん、はっきり言わせていただきますけどあんな子、雪音にかまってないでもっと勉強した方がよろしいと思っています。あんな子に足を引っ張られるような事などせずにもっともっとこの霧ヶ峰の家に恥じぬよう努力をした方がいいのではないのでしょうか?」

と、琴音と雪音の母親、霧ヶ峰 恭子(きりがみね きょうこ)は言った。ここはとある部屋、詳しく言えば恭子の部屋。そして、琴音はこの人は母親としても認めていない。

「お言葉ですか恭子さん。私はあなた達の望むような成績しかおさめてはいないはずですが?これでもあなた達は満足しないということですか?」

基本、琴音が起こる事は滅多にない。でもこの時は流石に頭にきた。

「私は別にあなた達に望まれようとしてやっているわけでもありませんし、私がやりたいようにやっているだけです。あと、雪音を邪魔者扱いにしないで頂きたいですね。私のたったひとりの大切な妹なんです。」

「っ!私はただあなたの為を思って!」

「それが邪魔、余計と言っているんです。では、私はもういうことは無いし、あなたの話を聞く気はありませんので失礼します。」

「ちょっ!琴音さん!」

恭子の声も聞かずに部屋を出た。自分の部屋に向かって歩いた。

「巫山戯るな、私の為?家の恥?知るかよ……あんな父親や母親なんて御免だね。」

琴音がそうつぶやいた後は部屋につくまで静かだった。
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