私の声、届きますか?
「やっぱり早かったかな?」

少し待つのに飽きたので近くのコンビニに入ろうかなと思った。

「黒井くん?お待たせしました。待ちました?」

「ん!いいや?大丈夫だよ!さっき着いたから。」

俺は立ち上がり、霧ヶ峰さんの服装を見た。水色のグラデーションの太ももの真ん中くらいまでの長さのあるTシャツの上に白いカーディガン。下にはTシャツと同じくらいまでの長さの短いズボン。霧ヶ峰さんにはとても似合っていた。

「霧ヶ峰さん、私服すごく似合ってるね。とても綺麗だ。」

「そう?ありがとう。あんまり言われたことないから嬉しい。」

少し霧ヶ峰さんは照れていた。なんというか……かわいい。いや、すごく今までいろんな人を見てきたけどそんな人達よりもすごく自然で心からの笑顔に見えた。一瞬だけドキッとしてしまった。女優とか会ったことあるがそれよりも勝るかわいさだ。過剰評価じゃなくてね?

「っ!!じ、じゃあ行こうか!」

「うん。」

幸い俺の一瞬の焦りはバレなかったようだ。しかし、ホントに惚れるな……あれは。

「ねぇ、本当に私で良かったの?他にもお友達を誘ったりとか無いの?」

「あー、実はこんなに友達みたいに遊びに行ったりしたこと無いんだよね。今日が初めてでさ、楽しみだったんだよね。」

今度は俺が少し照れくさかった。でも本当に友達というものを家のつながり以外ではない。第一大切な人なんてできたことも無い。全くもって皆無に等しい。幼馴染みの奴ぐらいしかいなかった。

「そっか、じゃあ楽しまないとだね!」

霧ヶ峰さんはまた可愛過ぎる笑顔になり、俺は俯いて「うん……」と小さな声で言った。
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