幻が視る固定未来
けど残念なことにオレは共有するような“楽しみ”っていうものを持っていない。せっかくの言葉もオレには論外らしい。

あれ? でもオレは今を“楽しい”と思っている。どうしてだ? 以前と違ってなんでオレはこんなにも一日が楽しいと思えるんだろう。
友達が出来たからか? 有希乃と友達になった時からオレは一日が楽しくなったな。けどそれは趣味ではない。
友達だから楽しいと感じる。当たり前のことのはず。だったらこの楽しいではないということか。

――ふぅ、難しいことだ、焦っても仕方がないだろう。

「とりあえず、今のオレには難題過ぎるようだ。ゆっくりと解いていくことにするよ」
「そっか、少しでもヒントなればいいけど、きっと全然役に立ててないよね?」
「いや、そんなことない。芳原のおかげで少しは理解出来た。ありがとう」
「え、いや、そんな。別にお礼を言われるようなことじゃないよ」

お礼を言われること事態は嫌ではないだろう、芳原は嬉しそうに俯いている。ちょっと面と向ってお礼を言われて恥ずかしいのだろう、頬が仄かに赤くなっている。
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