幻が視る固定未来

基本的に目的地などない。

こうして有希乃と一緒に歩いている街並みも最近では見慣れた。
休日だけあってショッピングモールには平日の倍以上の人がいる。その中にオレ達も含まれる訳だが。

有希乃は言うまでもなく休日は暇。

だから趣味探しの旅、もといただの買い物に今日も付き添わせた。だけどそれは召使いとしてではなく友達として。

「なんか面白い所でもないか。どうだ有希乃、なんか思いつかないか」
「ない、と思う」

オレと有希乃は看板のような地図と睨めっこしている。
今はすでに昼になり、人はほとんどが昼食をとってい頃合い。つまり移動には今がもってこいの時。
だけど行く場所が定まらないんじゃいくら人がいなかろうが意味はないんだけどな。

ちなみにオレと有希乃は昼食は早めに済ませてある。どうせ昼は混んでるしな。けど、そうやって色んな店を探すのも面白いかもしれないな。
有希乃を振り回すことになるが今度試してみるか。

「ここ」
「ん? どこだ」

不意にかけられた言葉にオレは地図を慌てて見直す。ちなみに今まで無意識に有希乃を見ていた。
その有希乃が指さす場所を読み上げると、

「ばってぃんぐせんたー?」

理解も出来ずにただ棒読みしたが、間違いなくバッティングセンターのようだ。
しかし、またなんでよりによってそこなんだ? しかもちょっと遠い。まぁ距離はどうでもいいけど。
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