幻が視る固定未来
「行ったことないし、バットを握ったこともない」

なるほど、けどそれはオレも似たようなもんだな。体育でソフトボールがなければ縁のないものだったかもしれない。

「体育とかで使ったことは?」
「ない」

まぁそうゆう学校もあるか。けど女性でバッティングセンターに行きたいってのは変わってるな……変わってるよな? それともストレス発散とかで来るのだろうか。てことは実は有希乃もストレスが溜まってる? 秘かな訴えだとでも言うのだろうか……。

「ただ興味あるだけ。竹刀と握り心地は似てるかも知れないし、色々な経験はしたい」

相当オレは勝手に思い込んでいたらしい。有希乃にフォローされた。
何をどうしたらこんなに考え込んだ。ありもしないだろうことを? それに有希乃なら剣道、つまり竹刀がある。握るというのでは近い感覚があるだろう。そう考えるといいかもしれない。

そうしてオレと有希乃は、この場所から軽く歩いて二十分くらいだろうバッティングセンターに向かって歩き出した。
< 104 / 383 >

この作品をシェア

pagetop