幻が視る固定未来
……

…………

ただ今、一時間ほど経過した今。

まずは状況を詳しく教えたいが、何よりもオレは疲れた。
バッターボックスが見えるように休憩用のイスがあるが、そこでオレは全身の体重をイスにかけている。
イスにはオレ一人。有希乃は今だにバッターボックスにいる。しかも上級の130km/hのボックス。

「はぁ、まさかここまでとは……」

あの時有希乃は言った。

『参考になった』

それは本当に参考にしたらしく、それ以降は本当に打ちまくっていた。今から思えばきと有希乃はボールこそ見えていたが“振り方”を知らなかったのだろう。
だけどそこに打つオレを見て一回で型を作った。全く驚かされる。それとは別にまだ打ち続けていることに更に驚かされる。

初めてだからこそ限界に挑戦したいんだろうな。今のボックスに入るまで初心者からどんどんレベルを上げてきたが、全て一回はホームランを当てている。
すごいはすごい。だけどな、

「今日一日をここで過ごすつもりか……」

そんなオレの感想がどこに届いたのか分からないがちょっとしたら有希乃は戻ってきた。
こうなったら有希乃の息が上がっているいつもと違う表情でも見ようと待っていたが残念。そんな一面も見ることは出来かった。
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