幻が視る固定未来
「ちょっと寄り道しないか」
「このまま帰る軌道を変えると時間に間に合わなくなる」

そうだ、そんなことオレだって分かっている。だけどこれが初めてではない。前だって遅れたことはある。
そんな軽い気持ちでオレはいた。

「いいから行こう」

有希乃の手を取って歩き出す。荷物が邪魔だけどそんなこと気にしない。
観念したのか有希乃も文句は言ってこない。
そうしてオレはただ帰り道を変える……つまりは寄り道して帰り、時間を超えて帰ってきた。


二人の手は繋がれたままに……。
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