幻が視る固定未来
「ねぇ、灼蜘君は好きな食べ物とか嫌いな食べ物ってある?」

いつもの昼休み。教室でオレは芳原と話している。
それがオレの学校での昼休みの過ごし方になっていたから。

「いや、特にはない。食べようと思えば何でも食べる。逆に食べたくないと思えば食べない」
「なんだ。さっき給食残してたから嫌いなものでもあるのかと思った。そうなると食欲ないの? 悩み事とか」

鋭いな。芳原の視線すら気が付かないでオレは悩んでいたのか。
悩んでいたのは正に永遠の課題になりそうな“好き”という感情。それをオレは考えていた。

この前だって趣味探しの旅として有希乃と一緒に街に出かけた。結局はバッティングセンターで汗をかくぐらいしか特別なことはしてない。もちろんバッティング、野球が趣味になることもなかった。

あぁ、そうゆう意味では有希乃は楽しそうだったな。あれを機会に好きなると嬉しいかもしれない。有希乃も無趣味だし。

「その顔はやっぱり悩んでるんだ? 珍しいけど、灼蜘君のことだから勉強とかの悩みじゃないんだよね。一体何を悩んでるの?」
「オレの悩みか? この前話したこと。人を好きになるってことがいまだに実感出来ない。それと趣味も」
「そ、そっか。確かこの前は難問って言ってたもんね。色々と告白はされてたみたいだけど誰ともOKは出さなかったの?」
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