幻が視る固定未来
「――と、いうことがあったんだ。どう思う? やっぱりあの時に断らない方がよかったかな」

夜の休み。
オレは今日の出来事を当り前のように有希乃に報告した。ついでにその時の言動をどう思うかも聞いた。
有希乃はオレの話を最後まで黙って聞いていた。少しは興味があるのだろうか。

「その時に灼蜘がそう思ったならそれでいいと思う。今、後悔するなら自分から言ってみればいい」

有希乃の分析結果はそうらしい。オレ次第ということ。確かに間違ってはいない。その通りだ。

「けど、後悔はしてない。多分間違ったことは言ってないからな」
「ならいいいと思う……それと芳原奈々とそんなに親しいとは思わなかった」
「そうか? 結構オレ芳原の話はするけどな。あ、もちろん有希乃だって親しい仲だぜ?」
「私と芳原奈々、どちらの方が親しい?」
「ん? 有希乃だろうな」

オレは即答した。
それしか返答の言葉がないから。いくら親しいと言っても有希乃に勝てる訳がない。一緒にいるだけで“楽しい”と感じて、色んな“楽しみ”を見つけられるんだから。
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