幻が視る固定未来
無表情の召使いと「灼蜘」
木下がこの屋敷に来てから二日が経ってようやくオレの召使い……いやメイドロボとして活動を開始した。
どうやら丸二日かけて助歌に色々と仕込まれたのだろう。
ま、ある意味自分の後継者となるものだから張り切って仕込んだのだろうな。
――と言うか、こいつが教えてもらっている時の表情が気になる。けどきっと変わらない無表情なのだろうな。

そんなことを考えている今、オレは学校に行く前の朝食を済ましている。もちろん背後には幽霊のように無言の木下がいる。
木下の最初の仕事はオレを起こすことだったらしいが、残念なことにオレは目覚まし時計なしでも時間通りに起きれる。
ちょうど木下がオレに手を差し出して起こそうとする時にオレを目を覚ました。
驚くとは困るとかの表情もなく、ただ手を引っ込めて『おはよう』を言われた時、逆にオレが焦った。

とりあえず木下の最初の仕事は、オレが食事をするための居間に行くまでの付添になっていた。もちろんのこと着替えなどを女である木下に手伝わせるわけにはいかない。
本人はやる気満々のようだったのが恐ろし限りだ。けど言えば分かる所は助歌とは違う。

助歌の場合は有無も言わせないからな。
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