幻が視る固定未来
「……だ」
「理解しましたか、灼蜘?」
オレが口を開いたことに気がついた母上が聞いてくる。けど掠れた声だから聞こえなかったのだろう。
「……認めない。オレはそんな決定、絶対に認めない!」
はっきりと言った。
初めて母上の決定に背いた。
初めて母上に対して苛立ちの眼を向けた。
――それは全て、有希乃のために。
誰もがこんなにオレがはっきりと反対するとは思ってなかったのだろう、部屋は空気は更に重くなり、そして静寂に包まれている。
けど、オレに後悔はない。ここで反対しない方が絶対に後悔する。たとえ“覆すことのできない決定”でも足掻くしかない。
静寂を切り裂いたのは助歌だった。
「幻視様、これは決定です。分かっているはずです、あなたは日々、生活リズムが狂いだしていることを。そして今では完全に狂っている。全ては木下のせいです。このままでは――――――」
「――――――分かってる! “それ”は二度と言うなと言ったはずだ」
きっとオレが止めなければ「真の玄武にはなれない」と言っていただろう。何も知らない有希乃の前で。
「理解しましたか、灼蜘?」
オレが口を開いたことに気がついた母上が聞いてくる。けど掠れた声だから聞こえなかったのだろう。
「……認めない。オレはそんな決定、絶対に認めない!」
はっきりと言った。
初めて母上の決定に背いた。
初めて母上に対して苛立ちの眼を向けた。
――それは全て、有希乃のために。
誰もがこんなにオレがはっきりと反対するとは思ってなかったのだろう、部屋は空気は更に重くなり、そして静寂に包まれている。
けど、オレに後悔はない。ここで反対しない方が絶対に後悔する。たとえ“覆すことのできない決定”でも足掻くしかない。
静寂を切り裂いたのは助歌だった。
「幻視様、これは決定です。分かっているはずです、あなたは日々、生活リズムが狂いだしていることを。そして今では完全に狂っている。全ては木下のせいです。このままでは――――――」
「――――――分かってる! “それ”は二度と言うなと言ったはずだ」
きっとオレが止めなければ「真の玄武にはなれない」と言っていただろう。何も知らない有希乃の前で。