幻が視る固定未来
「木下、教えてくれ」

玄関に入ってすぐにオレは待っていた木下にそんなことを口走っていた。
本当はただいまというつもりだったさ。けどいざ木下に会うとそんなことを言ってしまうとは相当オレも考え込んでいたようだ。

「……勉強」

一瞬首が傾げそうになりながらも木下はそんなことを言ったところを見ると、オレの知りたいことがどうやらこの先のスケジュールだと勘違いしたようだ。
いや、間違ったのはオレだ。何も言うつもりはないし、オレが勉強しないといけないもの分かっている。

部屋に戻っても木下は付いてくる。当たり前と言えば当たり前、木下はオレの召使いだから。
けど着替えの時は部屋から出てもらい、着替えが終わると平然と部屋に入ってくる木下だったが、そんなことにも構わずオレは勉強を始めた。
確かに聞きたいこともあるし、やりたいこともある。けどそんなことで勉強を疎かにするつもりはないので休憩時間にやりたいことをしよう。
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