幻が視る固定未来
どうして戦っているのか。

その問いの意味は、ただ強くなるためではなく、どうして強くなるために戦っているのかということ。

オレの強くなるということは、つまりは幻視の能力を開花させるということ。ならば戦うことははっきり言って順番が違う。

――けど有希乃は言った。

『幻視の能力よりも神素の解放が先』

つまりはオレの中の順序すら間違っているということ。それは前に言われて理解していたがやはりまた言われるまで忘れていた。

神素の解放とは即ち、全身を神素により強化及び補助するということ。その戦闘力は解放する才能によって数倍、数十倍まで跳ね上がるらしい。
この解放は教えるというよりも感じ取るほかないらしい。有希乃はそうやっていつの間にか解放出来るようになったらしい。
それは師となる人がちゃんとしたエデン出身者であり、その中でも強い部類に入る隊長の位を持っているから。

オレとは違って神素やエデンについて詳しい人が師なのだから、より正確に教えられるだろう。
つまり、オレは環境下によって今の状態にいるということ。ある意味宝の持ち腐れって奴だな。
だからオレは有希乃と戦って知るしかない。この神素の解放がいかなるものなのか。

有希乃の神素の解放は確かに強烈だった。
有希乃から目を逸らすと殺されるかと思うほどだから。

だけどそれはオレにも出来ること。むしろ幻視の発動には神素の解放をしている訳だから出来ない訳がない。
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