幻が視る固定未来
これは有希乃も素直に頷いた……けど、神素の解放とは常に神素を纏うということ。それがよく分からなかった。
オレの中では解放とは一瞬であり、その後は常に解放されているものだと思っていた。

しかし現実、解放したら次は纏うという“維持”をしないといけない。今のオレはその段階。瞬時に開放して、その後に少しでも維持すること。
――だから、さっきの攻撃、有希乃の突きも避けるのではなくあえて受けて反撃しないといけない。失敗して怪我をしてでも。
怪我をすることに恐怖も不安もないはず。だけどいざその場面に出くわすと体は逃げてしまう。だから余計な攻撃を予測も出来ずに受ける。

怪我することに恐怖も不安もない。それは強がりではない。だって怪我をすれば治せばいいんだから。


どうゆうことかと言うと、それは有希乃の神素能力の一つで“治療”の能力を持っているから。
そんなもんあったら医者なんかいらない、そんなことを刹那にオレは思ったが有希乃はすぐに補足した。

それは有希乃の治療は神素を持つ相手にしか使えないということ。ただの神素ではなくもちろんエデン出身者のみということ。しかも相手の治癒能力を極限にまで高めるので、本人に治すことの出来ない傷は治せないらしい。
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