幻が視る固定未来
そうして訓練の終わり、オレはシャワーを終えて自分の部屋にいる。ちなみに有希乃が今シャワーに入っている。
流石に「一緒に入るか」なんて軽はずみには言えない。だって有希乃なら一緒に入るだろうから。

「……」

考えなかったことにしよう。
この話題はこれ以上は触れない方がいいだろう。有希乃が帰ってきたらまともに顔が見れない。

――けど、遅すぎないか? オレが部屋に戻ってきてから三十分は経ってるぞ。前に有希乃は平均時間十五分って言ってなかったか。いやあれは風呂か。どっちしてもシャワーの方が早いに決まってる。

「まさか……」

本格的に風呂に入ったのだろうか。だとしたら……風呂を沸かすところから始まるぞ。一体いつになれば帰ってくるんだ。
とりあえずそれはないだろう。有希乃はシャワーを浴びるって言ったし。

なら何があったのか。分からないけど、有希乃が戻ってこないことはないだろう。
オレは有希乃が戻ってくるのを音楽でも聴きながら待つことにした。
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