幻が視る固定未来
……う、嘘だろ? なんだよそれ。まずい何か起死回生となる言葉はないか。こんなこと想定してないから何も抵抗できない。

どうする?


どうするどうするどうする……どうすればいいんだ。


オレは何も言えない。だから掠り声で名前を呼ぶしか出来ない。

「……有希乃」

帰ってくる言葉はない。

この静寂はただただオレを追い詰める。本当にオレだけが異質。だって何も知らずに陽気にいたんだから。
ここにいる三人はすでに解雇のことを知っていた。そしてそれは昨日の地点で確定していた。

どうしてオレだけ知らなかった?

それは有希乃が何も言わなかったから。昨日、あの時には知っていたのに。どうしてだ? 分からない。

「木下が認めている以上、これはいくら灼蜘が言おうと覆すことは出来ない。分かりますね? 今日を持って、木下有希乃は解――」
「――認めない! 絶対にオレは認めない」

もう理由なんてない。ただの感情のみでオレは抵抗する。
だって何も言えないまま、このまま終わることなで出来ないから。
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