幻が視る固定未来
――話は耳から入ってくるが肝心な脳に響かない。とりあえずは有希乃が出ていく話だけが進められる。
それなのにこんな無感情でいるのは何故だ。どうして抵抗出来ない。口を挟むだけでいいのに。
分かっているんだ。もう口で言ったって変わらないと。オレの脳は決めつけている。
どうすればいい?
口でダメなら……もう力ずくでも、オレは止めないと。それが最終手段じゃないか。
「灼蜘?」
オレの異変に気がついたのは母上。さすがに神素には敏感なんだろう。
オレは昨日会得したばかりの神素を解放する。あっけなく神素に包まれていることから、昨日で完全に会得したようだ。
「有希乃は辞めさせない。力づくでも……」
オレ自身では分かっていなかった。今の解放は昨日とはレベルが違っていることを。オレの瞳が仄かながらも輝きを持っていることを。
……けど、一瞬にして全身の力が抜けていく。その刹那に首から衝撃が走ったことだけを感じ取る。
曇っていく視界。闇に飲まれる感覚。
オレは知っている。それは気絶の前兆にして進行形。オレは間もなく気絶する。
「ゆ、き……の」
床に倒れてオレはただその名を呼んだ。
オレにこんな一撃を放ち、気絶させた人を見ながらオレは闇に飲まれた。
それなのにこんな無感情でいるのは何故だ。どうして抵抗出来ない。口を挟むだけでいいのに。
分かっているんだ。もう口で言ったって変わらないと。オレの脳は決めつけている。
どうすればいい?
口でダメなら……もう力ずくでも、オレは止めないと。それが最終手段じゃないか。
「灼蜘?」
オレの異変に気がついたのは母上。さすがに神素には敏感なんだろう。
オレは昨日会得したばかりの神素を解放する。あっけなく神素に包まれていることから、昨日で完全に会得したようだ。
「有希乃は辞めさせない。力づくでも……」
オレ自身では分かっていなかった。今の解放は昨日とはレベルが違っていることを。オレの瞳が仄かながらも輝きを持っていることを。
……けど、一瞬にして全身の力が抜けていく。その刹那に首から衝撃が走ったことだけを感じ取る。
曇っていく視界。闇に飲まれる感覚。
オレは知っている。それは気絶の前兆にして進行形。オレは間もなく気絶する。
「ゆ、き……の」
床に倒れてオレはただその名を呼んだ。
オレにこんな一撃を放ち、気絶させた人を見ながらオレは闇に飲まれた。