幻が視る固定未来
けど、あっさりと認めるわけにはいかない。

そんな意味のないことを有希乃がするか? しない。きっとあの条件には意味がある。だからまず、残された有希乃の部屋に行ってみよう。

「有希乃の部屋に行きたい」

オレはお願いするように言っているがきっと母上からは違う風に見えているだろう。こんな絶対に従わせるようなまなざし、本来母上に向けるものではないが、絶対に有希乃の部屋には行きたいから。

「いいでしょう。助歌、案内してあげなさい」
「はい奥さまの仰せのままに」



情けないことにオレは助歌に案内されないと有希乃の部屋は分からなかった。同じ屋敷に住んでいるにも関わらず。

もちろん一度も有希乃の部屋には行ったことはない。

行こうと思ったことはあるけど有希乃は教えてくれない。なんでか教えてはくれなかった。
嫌がるのとは違ったがどうやら入れたくはない。つまりそれは嫌ってことなんだけど。
まぁその内にお邪魔するつもりだったけど、こんな形でお邪魔することになるとは……悲しく空しいことだ。
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