幻が視る固定未来
そうして助歌の背中を追うしか出来ない中。止まったということは着いたということだろう。
一階には泊っている召使い達の部屋があるのは知っている。もちろん一人部屋。直接入ったことはないから全く内装は知らない。だけど、この場所自体は知っている。来たことがあるから。
けど、それは有希乃が来る以前の話。
「ここが木下の部屋です」
「見れば分かる」
素っ気なく返事をしてしまったが、扉には思いっきり『木下』というプレートが掛けてあるんだから。
助歌はそれきり何も言わなく、そっと距離を置いた。好きなだけ中に入ればいいということだろう。けど、見張ってます。
そんな意味合いだろう。
オレは初めて入る有希乃の部屋に緊張しながらドアノブに手をかける。
有希乃の部屋はどんな部屋?
一番に思いついたのは本だからけ、もしくは本棚だからけの部屋。色々と読書していたし数は豊富だろう。
次の候補として挙げるなら、何もない部屋。言っては失礼だろうけどなんとなく生活感というものを感じられなかったから。
まさか、普通の女の子の部屋ではないだろうな……普通の女の子の部屋は知らないけど。なんか散らかってるようで散らかってない部屋? いやいや、知らずにものを言うのは失礼か。とりあえずは本か何もないか、どちらかだろう。
そうしてオレはドアノブを握り、意を決して入った。
「……ぇ?」
とりあえずひねり出したような声しか出なかった。
一階には泊っている召使い達の部屋があるのは知っている。もちろん一人部屋。直接入ったことはないから全く内装は知らない。だけど、この場所自体は知っている。来たことがあるから。
けど、それは有希乃が来る以前の話。
「ここが木下の部屋です」
「見れば分かる」
素っ気なく返事をしてしまったが、扉には思いっきり『木下』というプレートが掛けてあるんだから。
助歌はそれきり何も言わなく、そっと距離を置いた。好きなだけ中に入ればいいということだろう。けど、見張ってます。
そんな意味合いだろう。
オレは初めて入る有希乃の部屋に緊張しながらドアノブに手をかける。
有希乃の部屋はどんな部屋?
一番に思いついたのは本だからけ、もしくは本棚だからけの部屋。色々と読書していたし数は豊富だろう。
次の候補として挙げるなら、何もない部屋。言っては失礼だろうけどなんとなく生活感というものを感じられなかったから。
まさか、普通の女の子の部屋ではないだろうな……普通の女の子の部屋は知らないけど。なんか散らかってるようで散らかってない部屋? いやいや、知らずにものを言うのは失礼か。とりあえずは本か何もないか、どちらかだろう。
そうしてオレはドアノブを握り、意を決して入った。
「……ぇ?」
とりあえずひねり出したような声しか出なかった。