幻が視る固定未来
「芳原……」
屋上の金網によしかかる芳原はオレを見た。
「昼休みのことは気にしないでいいんだよ? でも、話したいなら話して欲しいな。なんで灼蜘くんがあんなに荒れたのか」
今の芳原にはおおよその予測がついてるのだろう。口調には余裕がある。
あそこまでしてくれた芳原だ。何も言わない訳にはいかない。それが弱みを見せるということでも。
だからオレは芳原を屋上に誘ったんだから。
うまく言葉に出来るかなんて分からない。けど、それでもオレの言葉で言う。それがオレに出来る礼でもあるから。
「……大切な人がいなくなった。オレに何も言わずに」
「それって木下さん?」
なんでわかったんだ、なんて聞かない。恐らく芳原にも確信なんてないだろう。ただそう感じただけ。
なぁ有希乃、誰にも言わなかったことだけど、こいつにだけは言うぜ。オレ達の関係。まだ終わってないんだ。オレと有希乃の恋人関係は。
「あぁ有希乃だ。オレにとって大切な、とても大切な人なんだ」
芳原はオレの顔を見るなりほほ笑んだ。その笑顔の刹那には悲しみも喜びも見える。けど、きっと喜んだ。
「やっと、やっと灼蜘くんの笑顔が見れた。嬉しいけど、悔しいな。そしてすごいな木下さんは。こんな状態の灼蜘くんに笑顔を与えるんだから」
「あぁ、そうだな」
そうか、オレは笑ったのか。言われてみれば確かに笑ってるかもしれない。
屋上の金網によしかかる芳原はオレを見た。
「昼休みのことは気にしないでいいんだよ? でも、話したいなら話して欲しいな。なんで灼蜘くんがあんなに荒れたのか」
今の芳原にはおおよその予測がついてるのだろう。口調には余裕がある。
あそこまでしてくれた芳原だ。何も言わない訳にはいかない。それが弱みを見せるということでも。
だからオレは芳原を屋上に誘ったんだから。
うまく言葉に出来るかなんて分からない。けど、それでもオレの言葉で言う。それがオレに出来る礼でもあるから。
「……大切な人がいなくなった。オレに何も言わずに」
「それって木下さん?」
なんでわかったんだ、なんて聞かない。恐らく芳原にも確信なんてないだろう。ただそう感じただけ。
なぁ有希乃、誰にも言わなかったことだけど、こいつにだけは言うぜ。オレ達の関係。まだ終わってないんだ。オレと有希乃の恋人関係は。
「あぁ有希乃だ。オレにとって大切な、とても大切な人なんだ」
芳原はオレの顔を見るなりほほ笑んだ。その笑顔の刹那には悲しみも喜びも見える。けど、きっと喜んだ。
「やっと、やっと灼蜘くんの笑顔が見れた。嬉しいけど、悔しいな。そしてすごいな木下さんは。こんな状態の灼蜘くんに笑顔を与えるんだから」
「あぁ、そうだな」
そうか、オレは笑ったのか。言われてみれば確かに笑ってるかもしれない。