幻が視る固定未来
「もちろん。誰よりも信頼してる」
「うん。だったら、もっと木下さんの言葉を信頼してあげたらどうかな? 今の現実を見るだけじゃない。大丈夫と言った木下さんを待ってあげたら来てくれるんじゃないかな」
……一言だけ、一言だけ言わせてくれ。
「驚いた」
そう、驚いたんだ。
さっきオレは有希乃を信頼してると言った。にもかかわらず、ここ最近、一度だって信頼していなかった。だから有希乃の『大丈夫』という言葉をただの裏切りの言葉としか思えなかった。
一番の裏切りはオレだ。有希乃ではない。
オレは最低だ。本当に最低だ。なんでも有希乃のせいにしていた。正に目先のことしか考えてなかった。
何よりも最低なのはそんなことを誰かに教えられたということだ。誰よりも有希乃を信頼していたくせに。
どれほど口だけなのか身にしみた。ならば愛想もつかされるのも当たり前のこと。
「はぁ、だから言いたくなったんだよ? 駄目だよ、そんな明らかに落ち込んだら。気が付けないことって意外と多いんだよ。特に余裕がなかった灼蜘くんには。だから誰かが言ってあげないといけない。だから大丈夫だよ」
母上のような優しさ。それを始めて他人に感じた。芳原の笑顔にはそれがある。
ありがとう芳原。本当に、本当にお前は優しい。あぁきっとこの世に木下有希乃という存在がいなければオレは惚れてたかもしれない。
――けど、この会話も有希乃がいたからこそ成ったもの。
いや、余計な思考はいらない。
一つ、有希乃に詫びよう。
ごめんな有希乃、オレ、吉原に惚れそうになった。けど、やっぱりお前が一番だ。この気持は純潔だ。
「うん。だったら、もっと木下さんの言葉を信頼してあげたらどうかな? 今の現実を見るだけじゃない。大丈夫と言った木下さんを待ってあげたら来てくれるんじゃないかな」
……一言だけ、一言だけ言わせてくれ。
「驚いた」
そう、驚いたんだ。
さっきオレは有希乃を信頼してると言った。にもかかわらず、ここ最近、一度だって信頼していなかった。だから有希乃の『大丈夫』という言葉をただの裏切りの言葉としか思えなかった。
一番の裏切りはオレだ。有希乃ではない。
オレは最低だ。本当に最低だ。なんでも有希乃のせいにしていた。正に目先のことしか考えてなかった。
何よりも最低なのはそんなことを誰かに教えられたということだ。誰よりも有希乃を信頼していたくせに。
どれほど口だけなのか身にしみた。ならば愛想もつかされるのも当たり前のこと。
「はぁ、だから言いたくなったんだよ? 駄目だよ、そんな明らかに落ち込んだら。気が付けないことって意外と多いんだよ。特に余裕がなかった灼蜘くんには。だから誰かが言ってあげないといけない。だから大丈夫だよ」
母上のような優しさ。それを始めて他人に感じた。芳原の笑顔にはそれがある。
ありがとう芳原。本当に、本当にお前は優しい。あぁきっとこの世に木下有希乃という存在がいなければオレは惚れてたかもしれない。
――けど、この会話も有希乃がいたからこそ成ったもの。
いや、余計な思考はいらない。
一つ、有希乃に詫びよう。
ごめんな有希乃、オレ、吉原に惚れそうになった。けど、やっぱりお前が一番だ。この気持は純潔だ。