幻が視る固定未来
けど? それがオレの固定未来ではないか? 初めから婚約者という登場人物は昔から知っていたんだ。なんで今更になって焦る。
理由は簡単だ。その婚約者を有希乃の代理として成り立たせるつもりだから。
そんなものが現れたら有希乃の居場所どころの話ではない。ここに戻ってくることすら出来ない。
「安心していい。ちゃんと灼蜘のことを玄武と理解しているエデン出身の者です。きっと木下と差支えない存在でしょう」
「で、でも……」
口ごもるなんてがらでもない。こんな弱気になったことは一度もない。この挑戦を行っている中では一度もだ。
婚約者が決定しているのはマズイ。どうしょうもなくヤバい。エデン出身者、それは即ちオレと同類。有希乃とも同類ということ。
もっと警戒するべきだった、昨日の母上の言葉を。
だけど、後悔こそ意味がない。この場で何をしないといけないか。
見苦しいかもしれないけど、足掻くことしか出来ない。
「その婚約者が有希乃の代わりになるわけない。有希乃はオレにとって特別なんだ」
「特別? どのように?」
……言えない。ここで恋人だとは言えない。言ってしまえば、召使いのくせに主人に手を出したと永遠追放となるだろう。
だから言えない。決して友達以上のことは言えない。
理由は簡単だ。その婚約者を有希乃の代理として成り立たせるつもりだから。
そんなものが現れたら有希乃の居場所どころの話ではない。ここに戻ってくることすら出来ない。
「安心していい。ちゃんと灼蜘のことを玄武と理解しているエデン出身の者です。きっと木下と差支えない存在でしょう」
「で、でも……」
口ごもるなんてがらでもない。こんな弱気になったことは一度もない。この挑戦を行っている中では一度もだ。
婚約者が決定しているのはマズイ。どうしょうもなくヤバい。エデン出身者、それは即ちオレと同類。有希乃とも同類ということ。
もっと警戒するべきだった、昨日の母上の言葉を。
だけど、後悔こそ意味がない。この場で何をしないといけないか。
見苦しいかもしれないけど、足掻くことしか出来ない。
「その婚約者が有希乃の代わりになるわけない。有希乃はオレにとって特別なんだ」
「特別? どのように?」
……言えない。ここで恋人だとは言えない。言ってしまえば、召使いのくせに主人に手を出したと永遠追放となるだろう。
だから言えない。決して友達以上のことは言えない。