幻が視る固定未来
気力もなく帰ってきた自分の家。

自分の部屋に戻るまで誰とどんな会話をしたかすら分からない。
こうなると死刑宣告を待つのは心地いい訳がない。いつもはオレが行くはずの母上の部屋。それが処刑の場になるだろう。

なら、わざわざ自分から向かう必要があるのか。
あるんだ。答えがなくても行かないといけない。それがオレの挑戦であるのだから。毎日していたことを自分の都合で行かないなんて出来ない。そんなのは戦う前から試合を放棄したということ。
何もしないで負けるなんてしない。
だから、オレは時間に合わせて母上の部屋に向かう。
有希乃、やっぱりお前は来ないんだな。悔しいぜ。悲しいぜ。
奇跡なんて起こらない。オレの未来は奇跡というものが存在しない。

「行くか」

そうして時間ぎりぎりまで粘ってオレは母上の部屋に向かった。
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