幻が視る固定未来
迷いはない。あってはいけない。だから曇りなき目線でオレは母上を見た。
どんな表情をしていたか。悲しんだ、泣いた、怒った、どんな表情をしているかと思いきや、母上はなんとも言えない表情で一言、つぶやいた。
「血は争えないですね」
言ってる意味を全く理解できない。
でも、母上はオレの言葉を……認めてくれているような気もする。実際は全く分からない。
「どうゆう意味ですか」
知らないなら聞くしかない。それしか答えを知る由がないのなら。
「その話を答える前に、木下、あなたにも聞きます。灼蜘の気持ちに答えられますか?
玄武という全ての存在価値を賭けた灼蜘に答えることが出来ますか」
オレも聞きたい質問で、心臓が1.5倍くらい鼓動のペースを上げたと思う。
だってまだ、有希乃の口から何も聞いていないから。
でも、気持ちは重いだろうな。全てを捨てた人生の原因は自分になってしまうのだから。そしてそれがオレにとってどれほど大切だか知っている分、余計に。
「私は……」
有希乃はオレに振り向き、
「灼蜘が好き」
「……」
――くそ、なんでだ。なんでこんな時に視界がかすむ。有希乃が、あの鉄仮面の有希乃が、微妙だけど、本当に微妙だけど……しっかりと表情を変えて、微笑んでいるというのに。
有希乃の微笑みは、この場に天使や女神が現れても勝てないだろう。神ですら、オレの視界を逸らせない。かすむ視界の中でも、オレは有希乃が向きを変えるまでずっと泣きながら喜び、見入っていた。
どんな表情をしていたか。悲しんだ、泣いた、怒った、どんな表情をしているかと思いきや、母上はなんとも言えない表情で一言、つぶやいた。
「血は争えないですね」
言ってる意味を全く理解できない。
でも、母上はオレの言葉を……認めてくれているような気もする。実際は全く分からない。
「どうゆう意味ですか」
知らないなら聞くしかない。それしか答えを知る由がないのなら。
「その話を答える前に、木下、あなたにも聞きます。灼蜘の気持ちに答えられますか?
玄武という全ての存在価値を賭けた灼蜘に答えることが出来ますか」
オレも聞きたい質問で、心臓が1.5倍くらい鼓動のペースを上げたと思う。
だってまだ、有希乃の口から何も聞いていないから。
でも、気持ちは重いだろうな。全てを捨てた人生の原因は自分になってしまうのだから。そしてそれがオレにとってどれほど大切だか知っている分、余計に。
「私は……」
有希乃はオレに振り向き、
「灼蜘が好き」
「……」
――くそ、なんでだ。なんでこんな時に視界がかすむ。有希乃が、あの鉄仮面の有希乃が、微妙だけど、本当に微妙だけど……しっかりと表情を変えて、微笑んでいるというのに。
有希乃の微笑みは、この場に天使や女神が現れても勝てないだろう。神ですら、オレの視界を逸らせない。かすむ視界の中でも、オレは有希乃が向きを変えるまでずっと泣きながら喜び、見入っていた。