幻が視る固定未来
とりあえず、父の行っていた危険な実験。
その正体は“幻視の治癒”という言わば普通の治癒となんら変わらないように聞こえる。しかしその正体は自分の一日の命を犠牲にしてどんな難病も治す最良の治癒能力。
危険というのは自分だけ。確かに命がかかった危険な実験である。その成果は確かにあった。ただ自分に行うことが出来ないのが残念だが、それでも素晴らしい能力だと言えよう。

それを知った母上はますます父の信用を取り戻さないと気が済まなくなった。
まずは桃巴に説明し、半信半疑だったが、あの男を半殺しにした原因を幻視を用いて過去を見せると信頼を取り戻した。
父の幻視は多彩な能力であり、過去を見せることなど簡単なこと。なら初めからそれをみんなに見せればいいだけだが、それはきっと偽造の一言でもみ消されると考えた。
父の玄武としての力を本気で信用し理解しているものでない限り。だからこそ桃巴は大丈夫だった。これで三人。桃巴の参加ははっきり言って心強かった。

そこから数名、数十名と父は信頼を取り戻し、そしてあの危険な実験の正体をみんなで広めた。それを信用するわけもない男は実際にやってみろと不死の病に苦しむ子供を連れてきたが、父は完全に治すまでもいかないものの、大分楽にさせることは出来た。それを失敗だと言い切ったのは男だが、喜ぶ子供を見て成功だと思ったのは言うまでもない部下達。

そして誰も知らなかった裏の仕事全てを父さんは誰にも気がつかれずこなしていた。それを証明したのがエデン最高位であり、神である生神である。その生神の言葉を疑えるものなどおらず、父は信頼を取り戻した。
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