幻が視る固定未来
幻視の扉内で何が起きたか……圧倒的な暴力。そこで有希乃を瀕死にさせた。

……実際にそうなっていたらオレは二度と幻視の扉は発動することはなかっただろう。
そして本来ならば瀕死になせられるほどの強さをもっているのが幻視の扉だ。

だというのに現実は厳しい。泣きたくなるほどに。

幻視の扉内はオレの世界。
だというのに致命傷なる攻撃を受け流し、あろうことか幻と化しているオレに攻撃してくるし、はっきり言ってどっちの世界なのか分かったものではない。

有希乃の本来の武器“カマイタチー妖”を持っているから強いのだろうが、それでも初成功の幻視の扉で劣勢になるって結構凹んだ。
あの日は有希乃に慰めてもらったしな。

まぁそうやって特訓を繰り返し、オレは神素の解放を守護四神レベルまでに上達したしきっと胸を張って玄武だと名乗れるようなっていった。

しかしここで一つ、困ったことがある。それがオレの武器と武術。
本来の玄武ならば、弓を用いて遠距離戦が基本のだがオレは弓ではなく剣の方が得意になってしまい、しかも近距離戦が専門になってしまった。

正直、母に言ったら玄武らしくないと言われると思い、確かにそのままのことを言った。だけど『あの人らしい』と優しい表情で言ってくれた。

その人は言うまでもない父のこと。
父はなんでも武器を扱えるからな。オレも剣を使えておかしくはないんだよな? けど、オレの流派は絶対に玄武流というよりも有希乃流、全ての極意は有希乃に教わった。

師匠だよ有希乃は。本当に頼りになる師匠だ。流石にMSを素手で倒すような銀髪三つ編みのおっさんほど師匠らしくはないが、それでもオレの一番の師匠だ。

そうして今回の世代には近距離戦の玄武が誕生した。
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