幻が視る固定未来
オレのフィールドＢの端の方。全体の様子が見渡せる。
だけど何より対戦者の女子が気になる。それこそ現役の柔道選手みたいであれば受け身が出来る分、手加減の必要がないんだが……。

心の中で溜息。
有希乃くらいに背が低く、そしてどちらかといえばスピードタイプの小柄な子。はっきりと柔道には向いてない。

手加減が難しいな。ま、ここで評価がなかったら弓で取り戻すか。オレは軽い気持ちで自分の試合を待つことにした。


ホントに周りの試合が見渡せる。男女の組み合わせが多いように見える。
しかもほとんどの男は一切の手加減もなく投げ飛ばしている。まぁ逆に飛ばされてるやつもいるけど。
そこまで真剣なのはきっと説明会での先生の一言が原因だろう。

『相手が誰だろうとも一切の手加減はするな。相手が怪我をしてもそれは評価の下がることはない。実力を見せること。そうすれば評価は与えられる』
だそうだ。

推薦者は一握りしか選ばれず、ここにいる受験者のうち一割、つまり10人程度しか受からないそうだ。
まぁ実力者がいればもっと受かるし、下手すれば全員ってこともあるらしいがとりあえず20人を超えたことはないらしい。
平均で10人前後、まぁこれが基準だろう。
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