幻が視る固定未来
対立する長髪の女子と対戦者の男。
男の言い分が間違っていない限り女子に勝ち目はないだろう。むしろこれに勝敗はない。だっていくら長髪の女子が文句を言ったところで友達の女子が負けたという事実が覆ることはないのだから。

――いやいや、根本的に違うんだろう。勝敗ではない。
うーん、なんと言うのか男が寝技をかける必要性がなかったと言いたいんだ。
しかもその寝技は絶対にエロい方向に向いていたんだろう。じゃないとあそこまでキレたりしない。

自分は当たり前のことをしたとすました男に、睨みつけるにも関わらず澄んだ水色の瞳の輝きは失われていない。
凛々しい姿の女子。
そしてついには半べそになって長髪の女を止めている友達の女子。

Ａフィールドはすごいことになってのに誰も止めようとはしないんだな。
先生ですら見守ってるぞ。もちろん受験者も関わりたくないのだろう。誰ひとり何も言わない。

「あれが実力だというのか、笑わせる。あの程度の実力で？」
「なんだ、それは俺に負けたそこの女が弱いって言いたいのか」

あの男以外と冷静だな。そして逆に長髪の女子は冷静さに欠ける。
このままだと長髪の女子の自爆して終わるんじゃないのか。
けど、全く動じないのはなかなかだな。どう反論するかで長髪の女子が言い勝つが……さて言い勝てる言葉なんてあるか。
とっさには思いつかない。
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