幻が視る固定未来
オレはもう他のフィールドの試合やましてや自分のフィールドの試合を見ていなかった。見ていたのはAフィールドの問題ごとのみ。

「あんまり調子にのるなよ? テメェみたいな女に俺が負けるわけないだろうが! 試合なんかしなくたってなお前は負けてるんだよ」
「だったら実際に証明すればいい。この私を倒して。それとも威勢だけで最初から戦うつもりなどない、逃げ腰でいるつもりか」
「ふざけるなよ、テメェ!」

とうとう男が痺れを切らしたようだ。長髪の女子の胸倉を思いっきり握り出した。
これはよくない展開だな。Aフィールドの受験者か先生でも止めろよ。これは試験とは関係ないだろ?

「やめてください、私が謝りますから木葉は悪くないんです」
「関係ねぇんだよ!」
「きゃっ」

長髪の女子の友達、いわば元凶となった女子が割って止めようとしたが、男の眼には長髪の女子しか見ておらず、思いっきり吹き飛ばしやがった。

「舞! 大丈夫か」

なんだ今のは? 長髪の女子が吹き飛ばされた女子に手を取っている。
あの女子、どうやって男から離れた? ずっと胸倉を掴まれてたんだぞ。どんな状況だったか見逃した。
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