幻が視る固定未来
柔道が終わるのはすぐなはず。だというのにオレはまだ階段で待っていた。
おいおい、あれから何分経ってるんだよ。まさか同じ場所で他の競技もするのか……。

「それはヤバいな」

誰も道場からは出てこない。それはつまり道場で何かしてるってことだ。柔道だけとは限らない。あの場なら剣道くらいは出来る。

とりあえず様子を見るため一度戻ることにした。


扉を開けても注目らしい注目はない。さっきの時もそうだったんだ、今更注目するわけない。
みんな集中してるな。なかなかだ……ただ一人、オレを睨みつける奴がいるがな。オレに集中してどうすんだよ、あの長髪の女。

とりあえず無視だ。状況を把握しないと。

オレは長髪の女を無視して見渡す。するとまだ柔道をしているようだった。
なんだ、まだ終わってないのかよ……ヤバい、オレ受けさせられるってことはないよな。

「幻視灼蜘。まだ試験を受けてないな、今すぐに受けなさい」

近づいてきた先生に通告される。
まさか本当になるとは運が悪いな。けど受けるしかないか、逆らう方がまずいだろう。結果はどうあれ、相手が誰だろうとも受けるしかない。
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