幻が視る固定未来
「……?」

畳を踏みつぶす衝撃音を鳴らし、その刹那には雪櫻の背中が見える。

オレはたった一回のステップで雪櫻の後を取った。けどもちろん掴みかからない。
逃げに徹するだけ。

きっとこのチャンスを使用しなかったことは雪櫻の逆鱗に触れただろう。だっていかにもプライド高そうだしな。

二回のステップでかなりの間合いを確保するが雪櫻はゆっくりと振り返っている。
相当怒ったんだろな。どんな攻めを見せてくれる? 逃げも楽しいもんだ。まさに鬼ごっこだ。
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