幻が視る固定未来
推薦試験 後編
次に行われた弓道ではなんの苦もなくただ真っ直ぐ的を得た。
誰も文句が言いようのない結果だっただろう。

だけどオレには雑念があった。
故にさっきの弓は大ハズレ以前に論外の弓道になってない。

雑念は柔道での雪櫻の殺気。
納得いかない。あぁ全く納得できない。どうしてくれんだよ、あいつのせいで自信があった弓道で最悪の結果を出しちまった。


オレは次の会場に移動しながらずっと後悔していた。あそこで出しゃばって、雪櫻と関わらなきゃよかったと。

最後の試験は残った剣道。これは有希乃とさんざん戦ったから自信はある。もうこうなったらこれに全てを注ぐ。相手が誰だろうともな……。

「ウソだろ……」

柔道の対戦相手はくじ引き、弓道の順番もくじ引き。ならば剣道もくじ引きであることは言うまでもなかった。だというのに、どうしてオレはここで対戦者――――――雪櫻木葉を引き当てる。

道場でさえ広かったが体育館はグラウンド級に広い。なんなら今からサッカーでも始めるか? と、そんなことを言わせるくらい広い体育館だ。

そんな体育館の一角でオレは絶叫したいくらい運のなさに情けなくなる。

しかも試合は最後、トリまで勤めさせられて一番注目される試合。オレどうする? やるしかないだろう。
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