幻が視る固定未来
そんな空気だろうに木下はいつもと変わらなのだが、オレもこうして何も言わずに黙って二人の会話を何食わぬ顔して見ている。
ここでオレが呼べと言ったと言えば簡単に話しがつくのかもしれない。けどこの状況を木下ならばどうやって解決するのかは気になる。
折角、言葉辞典なんて読んでるんだ何か面白い打開策はないのか。
そんなオレの内心には構わず、興奮する助歌は叫ぶように話を続ける。

「本当に分かっているんですね? だったら次からはちゃんと幻視様とお呼びなさい。いいですね」
「……」

木下は何も言わずにただオレを見つめて、

「灼蜘」

と、確認するかのように呼んだ。

思わずオレは言葉を失った。それは多分助歌も同じだろうな。けど復活は助歌の方が早く思いっきり木下の肩を掴んでいる。

「いい加減にしなさい! どうして私の言うことが分からないのですか。あなたは私の後任となって幻視様の召使いになっている。だから無礼のないようにしないといけないのです」
流石にこれ以上黙っていると助歌のビンタでも飛んできそうだな。
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