幻が視る固定未来
今の状況、オレは確かに竹刀を失った。
それは無防備か？　違う。もしそうだというならば雪櫻が追撃してくることはない。
そう、分かってるのさ、まだオレには出来ることがあるということに。

振り下ろされた竹刀。
その落下を止めるはオレの両腕。

タイミングバッチリで取ってやったぜ。

白羽取りは有希乃に教えてもらっていたし、実戦での経験もある。
故にここで出すことにためらいはない。ただ有希乃よりも早いっていうのが厄介だったが、それでも掴んでやった。

雪櫻は絶対に面の内側で驚いていやがるだろうな。けどオレの白羽取りはこれで終わりじゃない。
オレの白羽取りは防御ではなくカウンターに近い。相手の驚いている隙に思いっきり竹刀を奪い取りにかかる。力任せではなく、鋭く抜き取る感じに動作はゆっくりでも瞬時に奪う。

――だけど、奪えない。
こいつ動揺の一つもしてないのか。
白羽取りをされたことに対して集中力を切らせていない。
そう思ったらがオレは竹刀を奪うことが出来た。それは相手が自ら自分の竹刀を放棄して後退したから。
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表紙・目次

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