幻が視る固定未来
「とりあえず青龍との対面があると思っていてください。今の灼蜘は立派な玄武です。私からは恥じることのない自慢の息子です」
「……」

そんなことを直で言われるとさすがに照れる。
こんなに褒められたのは初めてだろう。それも玄武として。

でも玄武としての姿は母さんに見せたことはないから、玄武として育っているって分かるのだろうか。
はたから見たらただ有希乃と遊んでるだけにしか見えないだろうけど。

「今日も木下の方から“具現化する幻”について話が聞きたいと来ました。なかなか勉強熱心でいいです」

なるほど有希乃の奴、そうやって情報を手に入れてたのか。
というのも、オレは玄武としての訓練を有希乃としてるがよく玄武のことを知っている。どうやらいつも母さんから父のことを聞いてたんだな。

けどな有希乃、具現化する幻は早いだろ。まだオレはその域にはいないぜ。

とりあえず訓練内容とかは言うまでもなく知っていた母さん。
完全に有希乃の奴、毎回のことを報告してるな。
全く困ることはないが一言オレに言ってくれよ。
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