幻が視る固定未来
オレと有希乃の会話を聞こえていない母さんはまだ運転手と話している。

まぁオレと有希乃の会話が小声だから聞こえないのかもしれないが。

「有希乃、本当に相手って青龍だと思うか」
「灼蜘の疑問が分からない。けど相手は間違いなく青龍の血縁者。証明書が手紙と一緒に送られている」
「それはオレ、知らないぞ? いつの話だ」
「多分、昨日、灼蜘が出かけている時だと思う」

昨日、ちょっと買い物に出かけた時か。
でもそんな重要なものが来たら、オレに知らせないだろうか。

「それ、有希乃は見てその日に知ってるんだよな?」

コクンと首を縦に振る有希乃。
恐らくオレの言いたいことが分かっているのだろう。

「なんでオレに教えなかった」
「必要ないと思った。まさかここまで心配するとは思わなかった。このことに関しては私に非がある」
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