幻が視る固定未来
――そうして何も納得できないまま車が停止。

そこはオレが初めて来た場所。

母さんの説明では青龍の家とオレの家の中間がちょうどこの森林公園になるらしい。
子供の公園にある遊具は一切なく、ベンチや噴水、そして多くを占めるのはやはり森林。

「ここのどこに集まるのかまで決まってるの?」
「一応決まってはいます。目印となるのが噴水です。でもちょっと早く来すぎました。私は噴水にいますので、灼蜘は有希乃と少し公園を回るといいでしょう」
「――――――そうする」
「え?」

オレの返事よりも早く有希乃が返事をして、手を取り勝手に歩いていく。もちろんオレは引っ張られる。

「なんだよ有希乃、そんなに見たいのか」
「少しでも灼蜘の気晴らしになればいいと思った」

なるほど、それはそうだ。気晴らしはしたい。
けどたかだか公園を回る程度で……ほぉ、なかなかの絶景だな。
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